2017年8月7日月曜日

Legend of the Five Rings ルール概要

FFGが今年のGenConで大々的にローンチするLegend of the Five Rings: The Card Game(以下L5R LCG)について簡単に紹介したいと思います。


歴史

Legend of the Five Ringsはオリジナルのカードゲームが存在します。AEG社が1995年にLegend of the Five Ringsという封建時代の五輪書にまつわる日本フレバーなカードゲームとしてスタートしました。その後、RPGや小説など幅広い展開をしました。フレバーだけでなく、世界大会優勝者がその後の時代の展開に関与できるというユーザーコミュニティと一体となって発展したのも特徴的です。

2015年にFFGがL5RのIPを買い取り、2017年にLCGとしてリリースすることになりました。これはネットランナーの成功が大きいでしょう。元となるカードゲームのリメイクは手堅い商売と認知されたからです。(Doomtownなど上手くいくとは限りませんが...)

情報

公式サイト - 現在リリースに先駆けて、Learn To Play、Rules Referenceが公開されています

L5R Reddit - 情報が早く、新鮮なネタで盛んです

L5R Demo Deck - ファンサイトですが、現在まで公開されているカードを印刷しやすいようにPDFにまとめて公開されています

ルール概要

ゲームの雰囲気が伝わる程度にルールを説明します。

1. デッキは2つ、城と名誉を守れ!

L5Rの特徴はDynasty(王朝)カードで構築されるDynasty Deck(王朝デッキ)と、Conflict(抗争)カードで構築されるConflict Deck(抗争デッキ)の2つを使用します。

これ以外に、Stronghold(城)カードというIDカード(他、ヒーローカードなど呼び名は様々)とProvince(領地)カードがあります。

勝利条件1: Stronghold(城)を落としたら勝ち!


ただし、Stronghold(城)は最初から攻めることはできません。4つあるProvince(領地)のうち、3つを落とさないとStronghold(城)を攻撃対象にできません。

勝利条件2: Honor(名誉)を25集めたら勝ち!

L5Rでは7つのクラン(派閥)が、一つの国(王朝)の中で共存しています。王朝は絶対なので、互いのクラン(派閥)が争うとなっても誇り高き武士道を捨ててはなりません。

王朝に支持されるような誉れ高い行動には、Honor(名誉)が与えられます。初期値はStronghold(城)に書かれていて平均10ぐらいなのですが、これを25集めると王朝の寵愛を受けることで勝利します。

敗北条件: Honor(名誉)が0になったら負け...

逆に王朝の支持を失うと敗北します。

2. 2つの手札を操れ!

2つのデッキがあることは説明しました。実際には手札も2つとなります。

1つは、Conflict Deck(抗争デッキ)から開始時に4枚引ける通常の手札。Event(イベント)、Attachment(装備)が含まれ、戦場に居るキャラクターを強化するカードで、抗争の結果を左右します。

この手札にあるカードはConflict(抗争)フェーズで使用します。刀を装備して武力を上げたり、様々なイベントをプレイしたりして相手を出し抜きましょう。

もう一つは、Dynasty Deck(王朝デッキ)からProvince(領地)に配置される、伏せられたカードです。キャラクターとProvince(領地)を強化するHolding(資産)が含まれ、キャラクターはここから出陣します。

Province(領地)に配置されたカードはプレイすると自動的に裏向きで補充され、裏向きのカードは見ることもプレイもできません。ラウンドの最初にProvince(領地)上のカードを全て表向きにし、キャラクターカードをプレイするタイミングがあります。


3. 5枚ドロー!もできるけど、かっこ悪いよね

L5R LCGではドローフェーズで、1から5までの任意の枚数ドローができます。言うまでもなく、多く引いた方が有利なのですが、それは王朝が無粋と見なします。相手に差分のHonor(名誉)を差し出さなければなりません。

このドロー枚数の決定はHonor Dial(名誉ダイヤル)を使って行います。

4. 争点は2種類、恩恵は5種類

L5R LCGではラウンド毎に、各プレイヤーに2度の攻撃のチャンスがあります。1つはMilitary(武力)、もう一つはPlitical(政治)です。各キャラクターカードはMilitary/Politicalの両方のステータスを持ちます。どちらで争うかは攻撃する側が決定します。

争点となる値が、攻撃側のキャラクターのステータスの合計値が防御側のキャラクターの合計値とProvince(領地)の値の合計を超えた場合は、その領地を突破し占領することができます。

更に抗争開始時に5つの輪(Air(風)、Earth(土)、Fire(火)、Water(水)、Void(空))の属性の力を指定できます。抗争に勝利した時、選んだ属性のボーナス効果を獲得できます。例えば、Air(風)は「相手から1 Honor(名誉)を奪うか、または2 Honor(名誉)を得る」ことができます。

5. 運命...それは盛者必衰の理なり

L5R LCGで最も変わった要素はキャラクターが活躍できる時間をプレイ時にコントロールできるようになったことでしょう。

各キャラクターはプレイ時に追加のコストを支払うことで、Fate(運命)を置くことができます。Fate(運命)はラウンド終了時に1つ取り除かれ、取り除けない場合はそのキャラクターは退場となります。

強いキャラクターを長く生かすか、数で押し切るか...勝敗と言う運命を決めることになるでしょう。


まとめ

美しいカードデザイン、魅力的なキャラクター、どこか親しみのあるフレバー、深い駆け引きができる複雑なシステム、今夏最注目のタイトルです!


2017年6月23日金曜日

アクリルトークンの作り方

アクリル加工とは?

アクリル板はアクリル樹脂の板を指し、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体でできています。結晶ではないのですが、透明で頑丈なためガラスの代替としても利用されたりします。

アクリル版はレーザーカッターというレーザーを照射した熱で任意の形状に切る道具で簡単に加工することができ、キーホルダーのような小物から水槽のような大きいものまで作ることができます。

ここではアクリル版を加工してゲームに使用するトークンの自作方法を説明します。アクリルグッズの制作代行業者は沢山あるのでそういう業者に依頼する事もできますが、この記事では自分で加工する具体的な方法についてのみ解説します。

流れ

アクリルトークン開発の大まかな流れは次のようになります

  1. デザインを作る
  2. アクリルや部材を入手する
  3. レーザーカッターを使える場所を見つけて手続きする
  4. レーザーカッター加工
  5. 後加工(墨入れなど)
注) レーザーカッター自体は中国製の安いもので10万円ぐらいでありますが、アクリルをカットできるレーザーは結構出力が必要で少なくとも50〜100万円のものでないと切れません。そのため現実的にレーザーカッターを購入するのは得策ではありません。最近ではMakerブーム(ものづくりブーム)により、レーザーカッターや3Dプリンターなどのプロツールを貸し出すサービスが東京都内では豊富にあります。例えばFabCafeは渋谷にあるカフェスタイルのお店で、10分800円でレーザーカッターを使用でき、待っている間は通常のカフェと同じようにくつろぐことができるお店です。

1. デザインを作る

デザインを思い付くのが最初の一歩ではありますが、これに関してはアドバイスはありませんので各自頑張って下さい(^^;

素材


作るデータはベクター形式のデータが必要です。所謂Adobe Illustratorなどの線画が必要となりますが「tech vector」などのキーワードで画像検索すると素材が得られると思います。また文字のフォントや、画像からベクター化を行ったりして作ることもできます。

ツール

無料: Inkscape

個別のツールの使い方は説明できないので、フリーソフトのInkscapeで説明します。後で説明しますが、Adobe IllustratorやCorelDRAWはレーザーカッターへのデータ送信ツールとして用意されている事が殆どなので、aiフォーマットなど上記ツールで読み込める形式なら大丈夫です。

デザイン

Inkscapeの使い方はコチラなどを参照にして下さい。簡単には次の画像のツールを良く使います。


細かいレイアウトは頂点選択をして数値を入力して合わせるのが簡単です。単位はmmにして最終的に作りたい寸法で作成します。

デザインの段階ではアクリルの色や墨入れの色を考慮して並べると良いでしょう。デザインが完了したら実寸で印刷して、最終的なサイズを確認します。


デザインに利用可能なのは、面の塗りつぶし(彫刻)と線(カット)になります。フィルとストロークの色をレーザーカッター用に変更し、テキストなどのデータを全部パスに変換します。カット線は0.1mm以下、重なっているオブジェクトは合成して一続きになるようになどレーザーカッター用に修正します。


レーザーカッターの方で色とレーザーの動作を設定できますが、デフォルトで多い設定は赤(R255)の線をカット、緑(G255)の面を彫刻とするものです。使用する場所によって違うので事前に確認しておきましょう。

最終的にデータは印刷からPDFで出力するのが確実ですが、データだけでなくPCも現場に持っていき読み込めない場合に備えましょう!

2. アクリルや部材を入手する

アクリル板

アクリル板は専門店が品揃えも良く、カット販売もしているので便利です。
アクリル版はキャストという製法のものが彫刻には向いています。板厚は2mmか3mmぐらい、サイズはA4ぐらいがレーザーカッターに収まるサイズとして適当です(これは機器のサイズに依ります)

トークン作成ならば透明タイプや蛍光タイプが良いと思います。価格も手頃なので、種類を揃えるのも手です。メーカーは数社ありますが、板厚の精度の問題があるため同一メーカーで揃えると良いでしょう。

店頭では端材を格安で販売している事もあるので、練習用に端材を集めておくと良いでしょう。

マスキングテープ(任意)

彫刻部に墨入れをする場合はマスキングテープが必要になります。最初からついている保護紙は性能が悪いので、剥がして利用して下さい。

オススメはカモ井加工紙のマスキングテープです。横幅のあるマスキングテープ自体が珍しいのですが、インテリア用だけではなく彫刻マスキングテープとしても良い性能です。マスキングテープを貼り合わせて彫刻すると段差ができてしまうので注意して下さい。



塗料(任意)

彫刻部に墨入れする塗料は注意が必要です。

アクリルは水酸基が付いた物質に弱いため、アルコールやラッカー塗料を塗布するとアクリルにクラックが生じます。例えばアクリル製のコップに酒を注ぐとひび割れてしまいます。詳しい薬品耐性に関しては例えばココを参照して下さい。

試した中ではクラックが出ない塗料は、簡単に墨入れするのならばぺんてるホワイトが、大量に作成するならばMr. フィニッシングサーフェイサーホワイトが便利です。水性アクリル塗料であれば大丈夫だと思われますが、事前にテストしてクラックが生じないか確かめてから本製作に入って下さい。(不透明アクリルならラッカー塗料も悪くありません。詳しくは墨入れの項を参照のこと)


3. レーザーカッターを使える場所を見つけて手続きする

都内ではレーザーカッターを使用できる場所がいくつかあります。月会費などを支払い工具を使用できる工房サービス、カフェに販促用として導入しているラボ系カフェ、ビジネス支援を目的としたものづくり支援事業など、形態は様々ですがデジタル加工機を個人で利用可能にしてくれています。

場所を見つけるならまとめが便利です。

以下では代表的なショップを紹介します。

ラボ系カフェ

FabCafe@渋谷が最も手軽に利用できると思います。

レーザーカッターは10分800円が最小単位ですが、コーヒーなどのセットで割引などもあるので簡単にテストするならここが一番手軽でしょう。オペレーションは店の人が全部やってくれるので、適切に加工したデータならばあっという間に出来上がります。アクリル板も15cm角のものをを販売しています。

一方、細かい指定をするのは難しい...というより満足のいくクオリティのものを作る設定は試行錯誤しないとできないので、お試しでレーザーカッターを体験するのに向いていると思います。

FabCafeでの作例。15cm角のアクリル板を2枚分ぐらいのトークンを15分で作成出来ます

工房サービス

(利用した経験のある工房がなくなったので、一般的な話になります)

Makers' Baseはものづくり工房の先駆け的存在で手厚いサポートが得られるでしょう。

一般的な工房の基本的な料金は、(1)時間でのスポット使用料または月の会費などの施設料金、(2)レーザーカッターのライセンス(使用方法のレクチャー)、(3)機材の使用料、などが掛かります。

最初は必ず機器の説明を講習という形で受ける必要があるので、すぐに作りたいと思ってもできないので注意して下さい。また機材は予約制なので、作りたいものがどれだけ工数が掛かるかなど事前に計画を立てておきましょう。

トータルで見ると費用は結構しますが、常駐の係員が最初のうちは大抵付き添ってくれるのでツールに関して苦手な方でもものづくりを無理なく始められるメリットはあると思います。(私みたいに行く前に機器のマニュアルを全部読んでおくというような几帳面な方は、不親切で安い所に行きましょう^^;)

ものづくり支援事業

SHIPは工房スタイルでありながら、事業創造の橋渡し的役割をもつ施設です。

法人しか利用できないということではなく、個人でも利用可能なので気軽に問い合わせてみましょう。例えばSHIPではレーザーカッターの使用料が540円/時間なので、今まで見つけた中では最も安価で利用可能な施設です(みんなには内緒だぞ^^)

基本的には施設使用料などが時間で請求されるだけなので、情報やサポートが少ない事を除けば工房系のサービスと同じと考えて構いません。基本的に自分で何とかできるという人が利用する施設なので、慣れたら天国のような場所になると思います。

まとめ

まずはFabCafeやLoftの&Fabなどで、レーザーカッターやデジタル加工機とはどういうものか体験してみるのが良いでしょう。一見難しそうですが、単なる特殊なプリンターでしかありません。

次に紹介したショップなどレーザーカッターが利用できる所に問い合わせて、講習を受けます。この段階で作りたいと思うデザインがあるとやる気も増すでしょう。

トークン作成のコストの大半はレーザーカッターの使用料になります。やってみればわかりますが、安く作る事を最初から実践するのは難しいです。

4. レーザーカッター加工

レーザーカッター

レーザーカッターの3大メーカーはUniversal Laser Systemstrotec laserGCC Inovationです。一般的に100万円から300万円の価格帯の製品になります。

下の写真はGCC社製のLaserPro Venus Ⅱになります。アクセサリー向け加工機で、コンパクトなのが特徴です。

LaserPro Venus II

細かい使い方は講習の方をきちんと聞いて下さい(機器や施設によって異なるため)。一般的な流れのみ説明します。

  1. PCにデータを読み込む(Adobe IllustratorやCorelDRAWが多い)
  2. レーザーカッターの電源ON、アクリル板を載せレーザーのフォーカスを合わせる(自動だったり、手動だったり)
  3. 切り出しの原点にレーザーモジュールを移動
  4. 排気装置(コンプレッサー)をON
  5. PCの印刷設定(レーザーカッターの設定)後、印刷をしてデータを本体に送る
  6. 扉を閉じて、スタートボタンを押して加工を始める
  7. 加工が終わったら、切り出した部材を取り出す
補足1) 最終的にレーザーカッターにはPostScriptで送られます。そのためデータを受けわたすのはAdobe IllustratorでもCorelDRAWでもPDFで十分と言えます。その際、線の細さやRGBでの色が設定に合っているかのみが重要となります。高級なソフトを態々買う必要はありません。

補足2) レーザーカッターはPCから見たらプリンターとして認識されています。ちょっとだけ印刷設定が普通のインクジェットプリンターと違うだけで、Ctrl+Pでの印刷をする事でレーザーカッターに指示を出します。高級なレーザーカッターではPCから特殊なソフトで操作するものもありますが、実装に大きな差はありません。

設定出し

プリンタのプロパティで設定する

レーザーカッターの原理は驚くほど簡単です。線か面に対して決まった色でパワーとスピード(とPPI)を設定する事で加工を決定します。

パワーを上げて、スピードを落とすと多くのエネルギー(熱)を与えるので、カットする事になります。(上図では赤の設定、スピード1.5、パワー95)

パワーを下げて、スピードを上げると少ないエネルギー(熱)を与えるので、表面を削る事(彫刻と呼ばれる)になります。(上図では緑の設定、スピード30、パワー45)

PPIはレーザーの通る間隔を広くするか、狭くするかで、多いほど細かくレーザーが通り滑らかな彫刻のエッジになりますが、時間が掛かるようにもなります。

大体の設定は機器ごとや素材ごとに目安となる値が用意されているとは思いますが、基本的には持ち込んだ素材に対してテストパターンを使って、カットの断面や彫刻の深さを試行錯誤で見つけなければなりません。

注意事項としては
  • アクリルは透過度(吸収率)で彫刻の深さが変わるので、色ごとに試す
  • マスキングを貼るとその分エネルギーを失うので、貼ってテストする
などありますが、1時間ぐらいは練習やテストに使うと思って下さい。

簡単なパターンで設定を試す
加工

マスキングテープで覆ったアクリル板
彫刻だけを綺麗にする場合は、保護シートやマスキングテープを外して行います。その場合、絵や文字が滑らかで反射のハイライトでしか認識できないのでトークン向きでは無くなります。

墨入れをしないのであれば、PPIを下げて浅く荒い彫刻にする事で乱反射させて文字を浮き立たせる方法もあります。

左上: 通常の彫刻、右上: 荒い彫刻
左下: スプレーで墨入れ、右下: ラッカー塗料を詰めて研磨
上の写真の通りで、通常の彫刻をすると浮き立たないのでトークンとして使いづらいです。赤いトークンはPPIを下げて荒く表面を削ったものですが、通常用途の視認性はありますが、細かいデザインは図形のエッジが立たないのであまり綺麗ではありません。

下段のトークンのように墨入れをすると視認性が向上します。塗料の入れ方は工夫が必要で、マスキングテープでマスクして入れるか、上手く綿棒ではみ出しを段差を利用して取り除くか、右下のように研磨して表面を削るなどしなければなりません。

加工の様子(掘る位置でレーザーの強度が上がり、瞬時に燃える)
量産時はタイル状にうまく敷き詰めます。間隔は2mm程度あれば十分です。

機器にも依りますが、A4の半分の面を加工すると片面で60分は掛かります。多少のレイアウトでヘッドの動きの最適化もありますが、基本的に一個作成する時間 x 個数の時間は掛かるのでテスト時に加工時間はメモしておいて、本製作の時間を見積もりましょう。

その他のテク

両面加工: 板を本体に固定して、加工後にトークンだけを取り出して裏返し、裏面データを送り加工します。但しカットした部分の0.2~0.3mmの分ずれる可能性があります。それを防ぐためにはトークンのカットサイズより0.1mm小さいカットをした治具を作る事で回避もできますが面倒です。どのみち正確に位置を合わせて板を置くのは困難なので、安易にひっくり返しても上手くいきません。

メルトカット: カット時に上手くカットスピードとパワーを調整すると、断面を綺麗にカットすることが出来ます。通常はギザギザが出てしまうのですが、これはアクリルが溶けた後に固まってからヘッドが動く事で生じます。スピードをなるべく下げて、かつパワーも下げて切ると滑らかなカット面を得ることが出来ます。レーザーのパワーが高くないとそもそもメルトカット出来ないので、気になるなら研磨したりアクリルサンデーを塗布して断面を溶解させて平滑化するなど後処理でカバーすることも出来ます。

5. 後加工(墨入れなど)

墨入れ

まずは色を入れる前に加工により生じた粉塵を綺麗に取り除く必要があります。但しテープなど粘着力が強いものを使うとマスキングテープが剥がれてしまいますし、掃除機で簡単に除去できるほど大きくありません。粘土やひっつき虫のようなもので表面を撫でてとるとマスキングテープを剥がさずにゴミだけ取れます。

左:加工直後、右:ゴミを除去
塗料は筆なりスプレーなりどちらでも構いませんが、もしマスキングテープからはみ出したとしてもラッカー用のシンナーがあれば綿棒で拭き取れる(彫刻した面に浸さなければ、クラックは生じない)ので、丁寧にやらなくても修正が効きます。

墨入れ後(はみ出しはシンナーと綿棒で修正)
塗料の乾燥後は若干強力なテープでマスキングテープを剥がしてとります。

彫刻の深さと塗料の厚さで仕上がりはだいぶん違うものになります。スプレーで仕上げるなら、彫刻を浅くした方が図柄が綺麗に見えます。筆やペンで塗料を入れるなら、彫刻を深くして塗料を多く入れると立体感が出てきます。

不透明なアクリルならばクラックを心配しなくても良いので、ラッカー塗料で厚く塗り彫刻面を完全に塗料で埋めてから、紙やすりで削ってフラットな仕上がりにすることができます(但し研磨するとアクリルの表面の澄んだ感じが失われるデメリットもある)。

まとめ

紹介したのは最小限の内容だけで、実際にやってみると色んなことを経験することになると思います。それもMakeの楽しみの一つということでしょう。何より、上記で説明したのは成功事例のみなので、失敗事例は沢山あります。アクリル板は数多く買いましたし、マスキングテープも色々買いましたし、塗料も様々なタイプのものを試しました。デジタル加工機だからと言っても、最終的にいいものを作るためには色々と創意工夫が必要です。

上記のトークンは人件費を除けば一個あたり20~30円ぐらいで出来ます。私も最初は「買うより作った方が安いだろ!」と取り組んで見たものの、そんな事はありませんでした(笑)...だから、Etsyなどでアクリルトークン販売されているのを見ると「安っ!」としか言えませんね。

オリジナルトークンは愛着が湧き周囲の目も引きます!
それでも自分だけのトークンを作れるというのは何よりも楽しい事だと思うので、気が向いたらチャレンジしてみてください!(^^)b

2017年3月24日金曜日

ネットランナー・インフォメーションセンター

お久しぶりです(^^)

最近、人気急上昇中のネットランナー(Android: Netrunner The Card Game)に関する情報をまとめました。これからネットランナーを始めるという方や、どっぷり浸かりたい方、どちらにも役に立てれば幸いです。

ゲーム・ルール


はじめに

まず初心者の方に向けた話ですが、ネットランナーに付属するルールブックは「(原著の段階で)情報のレイアウトの悪さから難読である」とよく言われます。なので、周囲の経験者やプロインストラクターの方からインストしてもらう方が、ルールブックと格闘するより効率的だと思います。

公式ルール・FAQ

公式ルールは2014年12月に一度ホストルール関係で改定されてから変更はありません。日本語版に付属するルールブックは最新の内容を反映しています。

Core Rulebook のダウンロード

基本ルール以外にカードのエラッタや細かいルールの裁定に関しては Android: Netrunner FAQ として公開されています。

FAQ のダウンロード

最新版には対応できていませんが、日本語に翻訳したものを コチラ で配布しています。

大会のレギュレーションが Android: Netrunner Tournament Regulations として公開されています。

Tournament Regulations のダウンロード

このレギュレーションの中でプレイヤーに関係するのは、制限カードリスト(NAPD Most Wanted List)です。強力なカードの一部が影響値の擬似的な追加という形で入れづらくなっています。以下はNAPD Most Wanted List(略称MWL)の和訳です。

NAPD Most Wanted Listは追加の構築制限です。プレイヤーは全てのFantasy Flight GamesのトーナメントにおいてMWLに準拠しなければなりません。

IDカードに印刷されている影響値上限は1より低くなることはありません。
以下のリストにあるカードを1枚入れる毎にIDの影響値上限を1つ減らします。
カードの陣営(ファクション)がIDの陣営と一致していてもIDの影響値上限は減ります。
陣営外のカードの元の影響値はIDの影響値上限に対して本来通り変わらずに数えます。


分かりづらい書き方ですが、要はこのリストにあるカードは陣営関係なく影響値を1つ使うと考えて構いません。(The ProfessorというIDは影響値上限が1なので、それを配慮した記述となっています)

カード枚数の少ない日本語版のみの環境で、この制限リストを導入するかは大会次第ですが、普通にプレイする際には煩雑なので気にしなくても良いと私は思います。

英語版でやっているグループの多くは普段からMWLありの構築をしていて、大会を開催する際は殆どがMWLを採用していますのでご注意ください。

大会でのフロアルールは Android: Netrunner Floor Rules として公開されていますが基本的にはジャッジの裁定に関しての情報なのでプレイヤーはあまり気にしなくて大丈夫です。

非公式FAQ

新しいデータパックのカードなどで公式のFAQが出る前にFFGに問い合わせて得られた回答をまとめているサイトがあります。

The ANCUR Unofficial FAQ

公式の裁定が最優先ですが、普段のプレイや大会を主催する際はUFAQを採用することになると思います。裁定に関してはTwitterなどで質問してもらえれば(出来る限り調べて)随時回答しますし、UFAQなど全部チェックする必要はないと思います。(そして、間違えてプレイしていても問題はありません、楽しくプレイする方が重要なので(^-^))

後述しますが、私がネットランナーのルールに関する情報を収集する際に見るのは、Reddit(Netrunner)NetunnerDBUFAQStimhack(forum) の4サイトです。(BBGは信頼性がなくて、もう見ていません)

大会


公式大会

日本にいるとあまり関係ないかも知れませんが簡単に説明します。

公式大会は4つに分かれています。

  1. Organized Play Kit(大会賞品のセット)を使用した普段の店舗トーナメント
  2. リージョナル・チャンピオンシップ(地区選手権)のシード権をかけたストア・チャンピオンシップ(店舗選手権)
  3. ワールド・チャンピオンシップ(世界選手権)のシード権をかけたリージョナル・チャンピオンシップ
  4. 年に1度行われるワールド・チャンピオンシップ・トーナメント

世界大会となるWorld Championship Tournamentに優勝すると、(1) カードのデザイン権、(2) 優勝デッキのリリース、(3) 世界に一枚しかないプレイマットなどのサプライ、を得ることができますが、残念ながら賞金はありません。

大会が開かれるとFFG社よりプロモカードなどの配布が行われます。日本ではプロモカードをeBayで購入するぐらいしか今のところ関係ないですね。

ローカルな大会とグループ

日本では公式大会はないので、基本的に個人開催の大会となります。以下では過去の実績を含めて載せますが、今後の大会の開催については個別にお問い合わせください。またここには載っていない大会やグループなどありましたらお知らせください。

東京

柏木シティーグリッド (大会)
場所: 新宿・大久保
活動: 〜2015年12月まで
コメント: みらこー氏主催の由緒ある月1開催のトーナメント。コアセット発表時からとのことで国内最長開催の大会。大会プロモも出ていた、理想的な国内大会。大会の模様はこちら

アンガスシティーグリッド (大会)
場所: 新宿・大久保
活動: 2016年4月〜2016年11月まで
コメント: 柏木シティグリッドの中断を受けて、ネットランナー復帰組のアンガス氏の主催による月1トーナメント大会。諸事情により中断中。

柏木ミーティング (仮称) (グループ)
場所: 新宿・大久保
活動: 〜2016年11月まで(何回かの中断を含む)
コメント: 月1、2度程度金曜日に集まってネットランナーをするグループ。柏木シティーグリッド常連による、わからん殺しとネタデッキの集い。

アヤバネシティーグリッド (大会)
場所: 新宿・大久保
活動: 2017年3月〜
コメント: ネットランナー界のプロフェッサーこと綾羽氏の主催による月1トーナメント大会(予定)。

ロロステ大会
場所: 千代田区・秋葉原
活動: 2016年3月〜 2016年10月(中断)
コメント: 日本語版オンリーの店舗主催の大会。アークライト(FFG代理店)の直営店による、公式の大会賞品などもあって賑わっていました。諸事情により中断中。

大手町シティーグリッド (Netrunner Tokyo) (グループ)
場所: 千代田区・大手町
活動: 2014年4月〜
コメント: Simon氏主催の週1の集会。様々な国のメンバーが集まりネットランナーや色んなゲームで遊んでいます。

神奈川

Camp Zama Pubrunner (大会)
活動: 2015年〜
場所: 座間市
コメント: 不定期に行われるネットランナーの大会。場所はキャンプ座間という米軍基地で入場にはパスポートが必要ですが、日本にはない雰囲気のパブで広々と対戦ができます。円が使えるし、そこら辺の人は日本語話せるのでお気軽に!?

千葉

09シティーグリッド (グループ)
場所: 柏市・柏
活動: 2017年3月〜
コメント: ミニチュアゲームからネットランナー界に参戦のダイスケ氏主催の集会。Mr. Fieldというミニチュアゲーム専門店の広い卓で目一杯プレイマットを広げてプレイできます。

大阪

Village Games (グループ)
場所: 池田市
コメント: X-Wing勢がネットランナーをプレイされているようです。

Kansai Netrunner (大会・グループ)
場所: 大阪市
活動: 2014年11月〜
コメント: イラストレーターのA.C. Galaga氏主催のコミュニティ。イエローサブマリンでの初心者向けコアセットの大会や、キューブドラフトなどを開催。

ボードゲームショップDDT
場所: 大阪市
活動: 2016年8月〜
コメント: 定期的にネットランナーの体験会を開催されているお店です。常連の日本チャンプの方が対戦してくれるとのこと(^^)

オンライン

金曜Jinteki.net会 (グループ)
場所: jinteki.net
活動: 2017年3月〜
コメント: 金曜21:00から行われるjinteki.netでの対戦会。色んな地域の人が集まってやっています。

データパック


ネットランナーはLCG(Living Card Game)というシステムで、月に1回の間隔で拡張パック(ネットランナーではData Pack/データパックと呼ばれる)をリリースするシステムとなっています。

日本語版の状況と英語版の状況はかなり異なりますので、個別にページを設けました。

日本語版ネットランナー購入ガイド2017
英語版ネットランナー購入ガイド2017

サプライ


公式なサプライは次の2つの商品です

  1. アートスリーブ全6種 (リンク)
  2. プレイマット全4種+二人用プレイマット(リンク)
この他、プレイマットは大会の上位賞品として様々な絵柄のものが配布されていますが、eBayなどで入手が可能です。

非公式なサプライとしてメジャーなのがアクリルトークンです。
  • Team Covenant : Data Tokens (リンク)
  • Broken Eggs : Cyber Punk Tokens (リンク)
  • PennyGems Tokens (リンク)
  • Etsy : 個人のハンドメイドによるトークン (リンク)
など探すと色々出ています。

その他


オンライン対戦

jinteki.netという有志が開発してフリーで公開されているオンライン対戦サービスがあります。

全自動というほどシステムは実装されていませんが、普通にプレイするのに問題がないレベルまでカードルールが実装されています。

動画

ネットランナーの対戦動画は様々ありますが、その中でもオススメを紹介します。
  1. Metropole Grid (Youtube) - 大会動画とjinteki.netの対戦動画
  2. PeachHack (Youtube) - US最大手の大会のストリーム配信と動画
  3. Team Covenant: NetrunnerLCG (Youtube) - 世界大会の解説付き実況動画など
  4. beyoken channel (Youtube) - 解説付きjinteki.net対戦動画。最新の環境での実践的なプレイを知るのに最良
この他、最近ではTwitchで大会をストリーム配信することも多いので検索してみてください。(例えばvttvliveなど)

Androidユニバース

NetrunnerはMTGのデザイナーであるリチャード・ガーフィールド作のカードゲームですが、Android: Netrunnerは元祖NetrunnerにAndroidというSFフレバーで再構成されたものです。

Androidのフレバーを持つボードゲームは複数リリースされています

最近では小説設定資料集などがリリースされ、ゲームの背景を知る事ができるようになりました。

日本語版ネットランナー購入ガイド2017

(注) この記事は2017年3月時点の最新状況による内容となります

日本語版のネットランナーがリリースされてから1年経過して、様々な状況の変化がありました。ここでは日本語版のカードに限定して、発売スケジュールや商品の内容について解説をしたいと思います。

リリースについて


現在販売されているのは以下の3商品となります。


  1. アンドロイド:ネットランナー 完全日本語版
  2. アンドロイド:ネットランナーWC2015ランナーデッキ「バレンシア」 完全日本語版
  3. アンドロイド:ネットランナーWC2015コーポデッキ「未来工学」 完全日本語版

(1)の製品は通称コアセットと呼ばれる、最初に購入する基本セットになります。カード以外にルールブックやゲームに使用するトークンなどが同梱されています。

(2)、(3)の完成済みのデッキは、2015年の世界大会での優勝デッキをフルアート枠のカードで販売しているものです。日本語のみに限れば現在唯一リリースされている拡張ですが、カードしか入っていませんので、トークンなどは別途用意する必要があります。

次に、発売予定の商品は以下の10商品となります。

  1. アンドロイド:ネットランナー 拡張 創造と支配 完全日本語版
  2. アンドロイド:ネットランナー 拡張 名誉と利潤 完全日本語版
  3. アンドロイド:ネットランナーWC2016ランナーデッキ「フィザード」 完全日本語版
  4. アンドロイド:ネットランナーWC2016コーポデッキ「メッセージの支配」 完全日本語版
  5. アンドロイド:ネットランナー 拡張 ダイダロス複合施設データパック 完全日本語版
  6. アンドロイド:ネットランナー 拡張 ステーション・ワンデータパック 完全日本語版
  7. アンドロイド:ネットランナー 拡張 地球の末裔データパック 完全日本語版
  8. アンドロイド:ネットランナー 拡張 血と水データパック 完全日本語版
  9. アンドロイド:ネットランナー 拡張 フリー・マーズデータパック 完全日本語版
  10. アンドロイド:ネットランナー 拡張 クリムゾン・ダストデータパック 完全日本語版

(1)、(2)は所謂大拡張と呼ばれるもので、ランナーとコーポそれぞれ1つの陣営のカードが一通り封入された拡張になります。コアセットと合わせれば、大拡張で増えた陣営のデッキ構築幅がぐっと増える事でしょう。

(3)、(4)はチャンピオンデッキの2016年版です。リリースは夏以降になると予想されますが(これは英語版のリリースと同じと考えられる為)、2015年版と同様に有用なカードを多く含む完成されたデッキとなります。

(5) ~ (10)は日本語版の初の継続的リリースとなる小拡張シリーズ(Red Sandサイクル)となります。これは英語版とほぼ同じスケジュールでリリースされる、文字通りの最新拡張となります。最初の小拡張は2017年4月を予定しているとの事です。

レビュー


コアセット

252枚のカードと、ルールブック、トークンが入っています。

ゲームとしては同名カードは3枚まで使えるのですが、コアセットに限っては1枚、2枚、3枚とカードによって封入枚数が異なります。基本的に1セットで対戦可能ですが、封入枚数の少ないカードは強いカードのため、2箱目を購入する意味があります。

またネットランナーのパワーバランスとして、コアセットのカード群は拡張よりも強い設定のものが多く、実はコアセットだけでも上手く構築してきっちりプレイすると最新のデッキともそれなりに戦う事ができます。

まずはコアセットを購入して、経験者からインストを受けることを勧めます。非対称なゲームで覚える事が多く、ゲーム自体も奥深いものとなっているので、ゲームの本質を知るためにも最初が肝心というのが経験としてあります。

大拡張

それぞれ165枚のカード(同名カードは3枚ずつ、全55種類)が封入されています。

ランナーとコーポの争いをテーマとしたセットになります。

  1. シェイパー(Shaper) vs ハース・バイオロイド(Haas Bioroid) : 創造と支配 (Creation and Control)
  2. クリミナル(Criminal) vs ジンテキ(Jinteki) : 名誉と利潤 (Honor and Profit)
  3. アナーク(Anarch) vs ウェイランド(Weyland) : Order and Chaos
  4. 中立ランナー vs NBN : Data and Destiny

上記の計4つが英語版ではリリースされていますが、現在(1)と(2)が日本語版の発売予定となっています。

英語版の環境を基準に言えば、(1) 創造と支配 はランナーのクレジットを獲得する必須レベル級のカードが入っています。他はどのパックもIDが3種類ずつ入っていて、計画書(Agenda)やアイス(ICE)、アイスブレイカー(Icebreaker)など豊富に入っている為、ゲーム性も構築幅も一気に増える事でしょう。

この中で(4)はまだ発売予定はありませんが、現状では日本版に限定するとカードが少なすぎて恐らく中立ランナーのデッキを組むのは困難だと思います、ご注意下さい。(もちろん大変魅力的な拡張ですが...)

チャンピオンデッキ



現在販売中の2015年チャンピオンデッキと発売予定の2016年チャンピオンデッキがあります。構築済みのデッキで45枚から49枚のカードが封入されています。

チャンピオンデッキは優勝デッキなので、当時は最も強いデッキだったということになります。その為、チャンピオンデッキに封入されるカードはどれも一線級のカードばかりで構成されていますし、構築済みなのでそのまま対戦することもできます。特に枠のないフルアートのカードはコレクションアイテムとしても優秀です。

日本語環境で言えばリリースされている唯一の拡張です。2015年WCのコーポデッキはとてつもなく堅いデッキで、恐らく日本語版のカードだけではどのランナーも相手にならないと思います。また2015年WCのランナーデッキはR&Dを落とすデッキで、これもまた面白いデッキではあるものの標準的なランをしないデッキで、WC以外のデッキとやるのは少し難しいと思います(そもそも廻す事自体難しいので、そういう意味でバランスしている試合も良く見かけますが...)

英語版の全拡張込みの対戦ならどちらもイーブン以上に戦える(というよりかなり強い)ので、環境を選んで対戦することをお勧めします。


小拡張

待望の日本語版の拡張(Red Sandサイクル)がリリースされます!

各拡張は60枚(同名カードは3枚ずつ、全20種類)のパックとなります。


テーマは火星で、各コーポは火星でも大企業として火星の開拓に貢献している一方で、火星の支配を企んでいます。火星でのランナーは地上とは異なる生活環境にありながら、クローンやバイオロイドが法に縛られず融合した曖昧な"人間性"の中で企業と対立しています。



日本語版オンリーのゲーム環境やバランス面は全く分かりませんが、カードプールが広くなくて同じスタートラインに立って始められる絶好のチャンスです!


LCGの魅力は様々あると思いますが、個人的に良いと思うのは月に一回リリースされるたびに新しいカードを入手して、それが新しいデッキを構築するモチベーションになり、それが対戦会などに足を運ぶ原動力となることです。そして環境が毎月変わることで、常に新しいゲーム展開を楽しめます。

最後に


最近、ネットランナーを始める人が増えています!...理由は分かりませんが(笑)

TCGなどカードゲームが好きな人、ボードゲームが好きでBBGランキングで上位にあるから始めた人、対戦型のミニチュアゲームが好きでカードゲームを始めた人...などなど、色んな背景で始めた人がネットランナーというゲームを通じて繋がってとても面白い状況になっています。

まずはコアセットから初めてみませんか?(^-^)b

英語版ネットランナー購入ガイド2017

前回購入ガイドを投稿してから1年以上過ぎました。

この間、MWLという制限カードの導入や、新たに2サイクルがリリースされたこともありかなり環境が変化しました。また、半年後には初のローテーションも予定されています。

前回は「全部一気に買わなくても、半分も揃えれば満喫できるよ」ということで、ゲームを始めたての方向けの参考にでもなればという思いで記事を書きました。

今回更新するに際して、全体を知らない新規参入向けだけでなく、復帰した人やお付き合いでやる人など、様々な背景に配慮したいと思いました。そして拡張に求める内容の違い、例えば大会で勝てるガチなデッキがいいとか、好きな陣営だけ揃えたいとか、お気に入りのデッキを強化したいなどスタイルを反映するにはどうすれば良いか考えました。

データパックの紹介とカード評価とは別に、どのようにデッキを構築するかという目線の違いによるコメントをつけることにしました。全体としては長くなりますが、参考になれば幸いです。

まずは商品展開やゲーム環境の変化について解説します。

ローテーションについて


FFG社は2014年にLCG製品に関してローテーションを設定すると発表しました。拡大し続けるゲーム環境は健全に保つのが難しく、初心者の参入が難しくなるからというのが理由です。

ローテーションは(環境上に残る)8番目のサイクルのリリース時に、一番古いサイクルと二番目に古いサイクルの2つが同時に落ちるというものです。大拡張はローテーション落ちはしません。常に5〜7サイクル分のカードを利用可能で、それ以上カードプールは増えないということです。


なぜ2サイクル同時に落ちるのか?というのは疑問に残りますが、2サイクル分はおよそ1年分のリリースに相当すると考えれば、1年ごとにローテーションするという意味合いなのかと思います。

具体的には2017年の秋頃に8番目のサイクルがリリースされる予定ですが、その際にGenesisサイクルとSpinサイクルが同時にローテーション落ちするということです。以降、同様に1年ぐらいの間隔で2サイクル増えて、2サイクル落ちるを繰り返します。


と、ローテーションについて説明しましたが、自分は以下の理由で気にすることはないと考えています。

  1. 実際にローテーションをさせるかは分からない(FFG社はAsmodee社に吸収合併され、当時の方針が有効か分からない為)
  2. 日本では今の所、FFG公式大会は存在しない
  3. 今、試したいデッキがあるなら、今、拡張を買うしかない!

日本に於いては輸入品な上に結構な数の拡張が出ていて揃えるのに費用が掛かるこのゲームに部分的でも参加してもらえるだけで、既存プレイヤーはありがたいと思っています。そういった理由で、各プレイヤーごとの状況に出来るだけ合わせるように、周りの熟練プレイヤー達も配慮してくれますので、まずは自分の気に入ったデッキが組めるように集めてくれればと思います。

MWLについて


2016年1月より制限カードリストとなるMost Wanted List(通称MWL)が導入されました。詳しくはコチラを参照してください。

この制限リストがどれほど環境に影響したかというと、環境上位にあったデッキをいくつも構築不能に追いやりました。有名どころでは、Astro SanSanと呼ばれた最強のファストアドバンスデッキは《AstroScript Pilot Program (Core Set)》と《SanSan City Grid (Core Set)》の制限やエラッタにより消滅(《AstroScript Pilot Program (Core Set)》がデッキ1枚制限になったため)、Eventのクレジットカードを《Pre-Paid Voice PAD (Second Thoughts)》でプレイして高速で大量のクレジットを稼ぐPre-Paid Kateは《Pre-Paid Voice PAD (Second Thoughts)》や《Clone Chip (Creation and Control)》の制限により価値を失って壊滅しました。

ところで、私はこの制限リスト(の仕組み)が良かったのかは未だに分かりません。一部の強デッキは確かに消えましたが、Net Deckのようなアプリなしには構築する気が起きない程に面倒になったと思います。(私は日本語版のみの環境ならMWLは無視した方が良いと思いますし、チャンピオンデッキを崩したりする必要はないと考えています)

今回のパック評価にMWL1.1の内容をつけました。MWL自体は近々改定される予定なので、そちらもチェックしてください。

購入ガイド


はじめに

前回の購入ガイドは、初心者向けにできるだけ情報を減らして伝えるように工夫しましたが、今回は全拡張の評価を現在の環境を基準に行いました。

評価はトーナメントでの上位デッキの分析を行っている Know The Meta の統計情報を参照し(以前は自前で集計したものを利用していました)、上位のデッキに採用されていたり、全体で採用率が高いカードが多く入った拡張を高得点としています。トーナメント上位にないがデッキタイプとしては有名で使われているカードといった、汎用性の低いカードを含む拡張は得点ではなく、コメントにより評価しています。

また勝手ではありますが、デザインテーマや環境上の立ち位置などユーザー視点で感じた内容もコメントしています。

構築スタイル

デッキの作り方は様々ですが、典型的には以下のようなスタイルがあると思います

  1. 流行りのデッキをコピーする、ネットデック(NetDeck)構築スタイル
  2. ベースのデッキを差し替えて強化する、グッドスタッフ(Good Stuff)構築スタイル
  3. 好きな陣営(faction)で構築する、カラー構築スタイル
  4. あらゆるカードのコンボを研究したい、やり込み型構築スタイル

私はネットランナーの構築スタイルとしては(4)のやり込み型構築スタイルになります。全部のカードを一回は使いこなしてやろうというモチベでやっています。とは言え、初期はNetrunnerDBのようなサイトから優勝デッキなり面白そうなデッキをコピーして廻していたので、最初は(1)の構築スタイルでした。

今回は、それぞれのスタイルに合うように意識して評価やコメントをしています。例えば、特定のデッキをコピーする場合に参考になるように、キーカードが含まれている拡張のコメントに有名なデッキのリンクを貼ったりしています。

サイクル

現在7サイクルが販売されています。

  1. Genesis (2012/12 ~ 2013/6)
  2. Spin (2013/10 ~ 2014/3)
  3. Lunar (2014/7 ~ 2014/12)
  4. SanSan (2015/4 ~ 2015/9)
  5. Mumbad (2016/1 ~ 2016/6)
  6. Flashpoint (2016/7 ~ 2017/1)
  7. Red Sand (2017/2 ~ 現在)
リリースは月に1回サイクルは6個なので、6ヶ月で1サイクルが出ることになっています。サイクル間は大拡張が出ていましたが、今の所はキャンペーン拡張(Campaign Expansion: Terminal Directive)が、従来の大拡張に相当するものになると予想されます。

全体的に言えば、サイクル内でシナジーを形成することは稀なため、サイクルを揃えるよりは気に入った拡張を選んだ方が初期段階では良いと思います。

注意事項(?)

拡張1個買ったら、2個買うのも同じだし、結局は全部揃えちゃうと思いますよ(*´罒`*)
(が、何かしらの優先順位の参考にでもなれば...と思います)

ランキング

Know The Metaのトーナメント上位に含まれる割合から点数化(>50%: 16点、>25%: 8点、>13%: 4点、>7%: 2点、>4%: 1点、残り0点)として独自に集計したデータパックランキングはコチラで参照できます。



購入オススメ順

これから拡張を揃える人には、次のような順番をオススメしています

大拡張4種 → チャンピオンデッキ2種 → 小拡張(随時)

大拡張


大拡張を勧めるのは、カードの揃い方がまとまっていてデッキを組みやすく対戦しやすいからです。また汎用的なキーカードが多く含まれているため、気に入った陣営があるならばその大拡張は必須と言えます。

中でもCreation and Controlはランナーの中立(Natural)パーツが豊富で長期的に使われるカードが多いです。例えば《Daily Casts (Creation and Control)》《Dirty Laundry (Creation and Control)》《Same Old Thing (Creation and Control)》など、トーナメント上位での採用率が50%以上です。

Data and Destinyだけはデッキを構築するために中立(Natural)カードを沢山必要とするため購入を後回しにした方が良いと思います。

チャンピオンデッキ


現在は2015年の世界大会優勝デッキ(チャンピオンデッキ)のランナー、コーポの2種が販売されています。

Jackson Howard (Opening Moves)》、《Global Food Initiative (Data and Destiny)》のようなコーポの採用率が80%を超えるカードも入っていますし、カードもフルアート(枠なし)なのでコレクション性も高いものとなっています。ランナーは《Daily Casts (Creation and Control)》や《Same Old Thing (Creation and Control)》などが入っているため、大変お得です。

完成済みデッキなので構築幅を単独で持ちませんが(そしてランナーデッキはかなり特殊です)、クレジット源のカードや汎用的な計画書(Agenda)が入っているため複数デッキを作る際にも都合の良いパックと言えます。

小拡張

トーナメントの上位デッキの採用率を元にカードごとにポイント方式でランキングを作りました。
以下では、そのランキング上位のパックについて解説します。(カッコ内は評価と注目カード)

必携パック

1. Blood Money (Flashpoint) (☆☆☆☆☆) (《Temüjin Contract》《Paperclip》《Rumor Mill》《Beth Kilrain-Chang》)
2. Future Proof (Genesis) (☆☆☆☆) (《R&D Interface》《Eli 1.0》《Project Beale》《Faerie》《Midseason Replacements》)
3. Quorum (Flashpoint) (☆☆☆☆) (《Aaron Marrón》《Şifr》《Macrophage》)
4. What Lies Ahead (Genesis) (☆☆☆☆) (《Plascrete Carapace》《Imp》《ZU.13 Key Master》《Ash 2X3ZB9CY》)
5. Martial Law (Flashpoint) (☆☆☆☆) (《MKUltra》《Friends in High Places》《IP Block》)

これらは陣営(faction)を選ばず採用率の高いカードを含むパックとなります。

ローテーション落ちをするとは言え、現状もGenesisサイクルにある3/2計画書(Agenda)が重要な状況は変わりません。リスクと得点の配分としては依然として優秀で、またデッキに計画書(Agenda)を必ず入れなければならないからです。Genesisサイクルをローテーション落ちという理由で購入しないならば、3/2計画書(Agenda)のポジションは《Corporate Sales Team (Business First)》が代わりになると思います。

Blood MoneyとQuorumはどちらもランナーのカード強く最強クラスのものが封入されています。《Temüjin Contract (Blood Money)》を筆頭にしたパワーカードがどういう点で良いかというと、プレイの幅も構築の余裕も広げてくれることだと私は感じています。

初心者の方は、まずクレジット源がとにかく豊富なデッキを廻して、クレジットでリスクが回避できるプレイを身につけるとストレスなく対戦できて良いと思います。それからインストールするカードやレゾするカードを増やしていくと、適切なトレードオフの地点が見えてくると思います。クレジットが枯渇してしゃがむだけのターンとかはどう考えても面白くありませんから...(^^;

汎用パワーカードパック

6. Double Time (Spin) (☆☆☆☆) (《NAPD Contract》《Caprice Nisei》《Lucky Find》《Quandary》)
7. Salsette Island (Mumbad) (☆☆☆☆) (《Salsette Slums》《Cobra》《Sports Hopper》《Jeeves Model Bioroids》《Mumbad Virtual Tour》)
8. Opening Moves (Spin) (☆☆☆☆) (《Jackson Howard》《Celebrity Gift》)
9. Escalation (Flashpoint) (☆☆☆☆) (《Black Orchestra》《BOOM!》《Fairchild 3.0》)
10. The Liberated Mind (Mumbad) (☆☆☆☆) (《Exchange of Information》《Vanilla》《Rebirth》《The Turning Wheel》)

これらはデッキや陣営をある程度選ぶものの、広く使われているパワーカードが含まれているパックです。

Jeeves Model Bioroids (Salsette Island)》《BOOM! (Escalation)》《Exchange of Information (The Liberated Mind)》はデッキコンセプトになるカードで、トップメタでもあります。

Quandary (Double Time)》や《Vanilla (The Liberated Mind)》といった「ランの終了」を持つ低コストアイス(ICE)は広く使われています。

グッドスタッフパック

11. Democracy and Dogma (Mumbad) (☆☆☆☆) (《Sensie Actors Union》《Political Operative》《Commercial Bankers Group》)
12. Breaker Bay (SanSan) (☆☆☆☆) (《Career Fair》《Turing》《Breaker Bay Grid》《Crick》)
13. Humanity's Shadow (Genesis) (☆☆☆☆) (《Kati Jones》《Quality Time》《Eve Campaign》)
14. Cyber Exodus (Genesis) (☆☆☆☆) (《Pop-up Window》《Project Vitruvius》)

これらはパックのコンセプトが良く、広く採用されるグッドスタッフの多いパックです。

Politicalの資財(Asset)を持つDemocracy and Dogma、サーバー指定型アイス(ICE)を持つBreaker Bayはカードデザインの良さからどの陣営のカードも採用されています。

またトップレベルの強さはないものの《Career Fair》や《Kati Jones》などクレジット源となるカードは採用率が高いです。

陣営毎のオススメ

ここから先はIDで選んだり、デッキのコンボパーツとして選んだりすることになると思います。ここでは陣営で良く使われるカードとそのパックを示します。ここまで紹介した小拡張は含みませんので、次なるパックを選択する際の参考にしてください。

Anarch: The Underway /《Faust》, The Valley /《Clot》(メタカードとして)
Criminal: Kala Ghoda /《Mongoose》, Daedalus Complex /《Exploit
Shaper: All That Remains /《Cerberus "Lady" H1》, Old Hollywood /《Film Critic》(メタカードとして), True Color /《Sharpshooter

HB: Up and Over /《Architect》, The Universe of Tomorrow /《Team Sponsorship
Jinteki: Upstalk /《Lotus Field》, Trace Amount /《Fetal AI
NBN: True Colors /《Sweeps Week》,  Fear and Loathing /《Wraparound》, All That Remains /《Daily Business Show》、23 Seconds /《Hard-Hitting News
Weyland: First Contact /《Crisium Grid》, Daedalus Complex /《Oberth Protocol》, Chrome City /《Oaktown Renovation

個別のサイクル評価

トレンドを反映してパック毎にコメントをつけています。ご参考になれば幸いです。

  • Mumbad サイクル評価(作成中)
  • Flashpoint サイクル評価(作成中)
  • Red Sand サイクル評価(作成中)


おわりに


私もミニチュアゲームというものを最近始めてみて思ったのですが、歴史のあるゲームに途中から参加する場合やゲーム全体を追っかける(購入する)のが難しい場合に、どうしたら良いかはかなり悩みます。特にゲームのパワーバランスや拡張のコストパフォーマンスは、当たり前ですが初心者には分からないことです。

なので「みんなが使っている!」「強い!」とだけ書きました。ネットランナーに於いては、ほぼ強いカードはデッキの廻りとプレイの幅を持たせるカードです。そういった意味でも、まずいくつかのクレジット源とドロー系のカードを揃えてから、後はカード毎の興味で揃えていくのが良いと思います。逆に言えば、パワーインフレで追いつけないほどカードパワーが離れているということは今のところありません。

「なんで、このカード印刷されたんだ?...」となったら、もうこの沼からは抜け出せません、気をつけて下さい(๑˃̵ᴗ˂̵)و

2016年8月17日水曜日

最新ネットランナー環境解説①

お久しぶりです!

宣伝


まずは宣伝ですが、2016年8月27日()に東京の新宿にて最大規模のネットランナーイベントJapan Netruner Summit 2016を開催します!

詳細については http://twipla.jp/events/214605 を参照してください

一つは日本で開催されないNationals&Regionals規模を目指した、全拡張で戦えるトーナメントです。私に出来ることは遠征する気になるようなお土産を用意することぐらいですが、普段身内でプレイしている方もお祭り気分で気楽に参加してもらえるように盛り上げていきたいですね(^-^)

もう一つは日本語版が発売されたけれどもプレイ機会がない初心者向けの交流会です。ボードゲーム繋がりでネットランナーを始める方が多く、大会という形式よりは気楽な方が良いという声があるため、インストやルールの確認、同じようなレベル同士でのプレイという形でハードルの高いゲームに慣れてもらう機会になればと考えています。デッキの貸し出し(日本語、英語両方)もできますので、手ぶらでも参加可能です!

環境の変遷


これからネットランナーを始める人やトーナメントに参加する方向けに、これまでのネットランナーの環境がどのように遷移してきたかを簡単に解説したいと思います。

コアセット (Worlds Championships 2012)

チャンピオン: Jeremy Zwirn
コーポ: Weyland Consortium: Building a Better World
ランナー: Gabriel Santiago: Consummate Professional

コアセットのみの環境はランナーはGabrielが最強と言われています。実際にクレジットを増やすカードが少ないため、イベントカードでクレジット差関係なく攻めることができることが大きいです。(Account Siphonのパワーは言うまでもない)
コーポに関してはNBNがこの時点から既に大人気ではありますが、ランナーがGabrielに寄っているため、ランを止めやすくSiphonを打ちづらくさせるWeylandはメタとして機能しています。

〜 Opening Moves (Worlds Championships 2013)

チャンピオン: Jens Erickson
コーポ: HB: Engineering the Future
ランナー: Andromeda: Dispossessed Ristie

環境はランナーはAndromeda一色と言えるほどでした。Creation & Controlの大拡張によりランナーのクレジットカードが増えたことや、NBNのFAデッキがコーポの大半であったために、消去法でもAndromeda以外では対抗が出来ない時代でありました。
3/2アジェンダが出たことでFA一強になり、R&D Interfaceなどマルチアクセスカードが登場したことで、コーポは後半不利(というか勝てない)になりました。

〜Up and Over (Worlds Championships 2014)

チャンピオン: Dan D’Argenio
コーポ: Jinteki: Replicating Perfection
ランナー: Andromeda: Dispossessed Ristie

Honor & Profit大拡張によりJintekiのカードとCriminalのカードが一挙に増えました。結果としてNBN(Near Earth Hub)のFAとJinteki(Core + RP)の2大勢力となりました。NBNはArchitect+Eli 1.0というコスパ最強ICEで固めて中盤までに勝ち切るデッキ、一方Jintekiはネットダメージでフラットラインを狙うタイプとglacierと呼ばれる重いICEを重ねて後半に勝ち切るタイプがありました。Ash 2X3ZB9CYとCaprice NiseiはFA以外でスコア勝ちを目指すための必須アイテムとなりました。
ランナーはAndromeda一強(FAが大半を占めたこと)で、Jinteki RPは相対的なメタとして勝ち抜けました。初期のネットランナーはプレイングの巧さが勝敗を分けていましたが、ここら辺からメタゲームを勝ち抜けることが重要となっています。実際に3位のTimmyは唯一Weryland(Blue Sun)を上位に残すことに成功しています。(glacierデッキで、Andromedaメタになっている)

〜 Data and Destiny (Worlds Championships 2015)

チャンピオン: Dan D’Argenio
コーポ:  HB: Engineering the Future
ランナー:  Valencia Estevez: The Angel of Cayambe

Order & Chaos大拡張とSanSanサイクルによるAnarchのテコ入れにより、青い環境から赤い環境へと変遷しました。ClotというFA対策カードが出たことで一時代を築き上げたNEHは勝ちきれなくなり、上位はEtFが大半を占めることになります。Global Food Initiativeのおかげでコーポは3枚スコアすれば勝ちで、ランナーは4枚という勝利条件の変化が起きたことが大きいです。ShaperはTuringを2度突破する力がなく(※ AshやNiseiによりランが終了した場合)、D4v1dを持つAnarchだけがEtFに優位に戦える色でした。
そして異質なランナーデッキが優勝を遂げます。所謂DLR(Data Leak Reversal)というタグを持っている時に使えるクリックで1枚R&Dを削るカードを使って、デッキを落とし切るミルデッキです。リソースを守るカードが出たことや、ミートダメージ対策の新しいカードなどによりフラットライン型のNBN(NEH)をカモにしました。

まとめ


トーナメントという観点から見ると、カードの枚数より質がどれだけ強力に作用するかが見て取れます。NBNはコアセットと強力なID1枚で長い時代トップでしたし、Adjusted Chronotypeのように相棒が出たことで劇的な変化をもたらしたカードもあります。
面白いのは、事前予想にあるような環境で一番多いデッキ(Tier 1)が優勝しているのではないということでしょう。ネットランナーは非対称のゲームなので、まずランナー側が強いのかコーポ側が強いのかでメタの中心が違います。実際にAndromeda時代にはコーポのデッキタイプは複数上位に存在していますが、これは裏を返すとどれを取っても勝敗に大差がない状況を意味しています。逆にコーポのデッキタイプが少ない時(NEHやEtF)は、ランナーのデッキタイプが豊富です。
にも関わらず、優勝するのは上位の構成とはかなり外れたデッキなのです...特異な非対称なデッキによるダブルイリミネーションが裏切りを優位にしているのかも知れませんし、プレイングでは埋められない溝を構築で賄うしかないのかも知れません。

因みに、現在はAnarch Whizzard一強/コーポはアセットスパム(CTM/GI/Gagarin)の時代です。次回はこの1年での環境変化について詳しく見ていこうと思います(^-^)/

2016年2月14日日曜日

第2回 ネットランナー初心者大会 (日本語版発売記念大会)

お久しぶりですー( ´ ▽ ` )ノ

待望のアンドロイド: ネットランナー日本語版が2月20日に発売となりました(パチパチ

というわけで日本語版の発売を記念して、第2回ネットランナー初心者大会を開催したいと思います

参加登録はコチラ⇨TwiPla



概要: アークライトゲームズ社から2月20日発売のアンドロイド: ネットランナー完全日本語版を使用したスイス形式のトーナメント大会。主催 Y.KATO (協力さぼてん様)

日時: 3月5日() 13:00〜18:30 (人数によるラウンド数で終了時間が早まる場合があります。また開場は10:00となります)

場所: 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-32-7 NOF南新宿ビル4F (株式会社ビープラウド社様の会議室をお借りしての開催となります)



参加費: 無料

参加資格: 日本語版を機に始めた方、英語版を持っているけど殆どやる機会がなかったなど初心者の方の大会となります。目安として直近1年で月に1回以上の頻度で英語版をプレイしている方は対象外となりますのでご了承下さいm(_ _)m

定員: 16名

レギュレーション: 上記のアンドロイド: ネットランナー完全日本語版1箱のみで組める、ランナーデッキとコーポデッキをご用意ください(最新の公式レギュレーションではMWLという制限が入りましたが、今回これは適用されません)

大会形式: スイスラウンド3〜4回戦(人数により変動)。各対戦ではランナー側とコーポ側で計2戦を行います。得点は時間内に決着がついた場合は勝者に+2ポイント、制限時間では計画書ポイントで上回る場合は多い方に+1ポイント、これら以外については0ポイントとして集計します

制限時間: 片側40分となります。時間切れとなった場合は、その時の手番のプレイヤーの次のターンの開始を持って終了とします

賞品: 優勝者には Android: Netrunner Playmat The Root (下記) を進呈します。参加人数に応じて色々と用意するかも知れません!? お友達をお誘いの上ご参加くださいませ(^^)


その他: 練習やインストが必要な場合は、当日午前10:00〜13:00までの間に来て頂ければ熟練プレイヤーがお相手します。他にもプレイ上のルールなど質問があれば、この時間を活用してください

一般の企業の会議室をお借りしての開催となります。常識的な範囲での振る舞いができる方のみご参加ください。勧誘や営業などはお断りとします

何か大会に関して疑問や質問があれば @YKATO_LCG までご連絡ください(^^)